制作裏話

本映画のオススメポイントや舞台裏を
メインスタッフのコメントを交えてご紹介します。

オーストラリア編「リロイのホームツリー」

ホームツリーを探しに仲間と旅するコアラの「リロイ」の冒険物語

オーストラリアのコアラを主人公にした「リロイのホームツリー」。意外と知られていないコアラが成長していく姿を描いたこの作品が完成するまでのこだわりや工夫を紹介します。

ストーリーができるまで

今回のオファーを受け、オーストラリアのコアラの物語を通して、どんなにかっこ悪い姿でも、逃げても、生き残ることがかっこよく、素晴らしい! ということを表現できないか……と考えました。そのうえで、ファンタジーな要素や、映画で見て楽しいアクションを盛り込めるようなお話を作り上げていきました。(イワタ監督)

脚本 加藤陽一コメント

主人公のリロイたちを好きになってストーリーを楽しんでいただきながら、原作のような感覚で面白い知識を楽しんでいただけるようにしたい、というのがこだわりのポイントでした。知識の部分だけ雰囲気が違うと、お話が見にくくなってしまうので、カモノハシの三人組の「ざんねんトリオ」を作って、知識も流れの中で楽しく見られるよう心がけました。リロイを始めとするキャラクターたちを、それぞれ魅力的に感じてもらえたら嬉しいです。

監督からの見どころ紹介

グラフィックデザインも好きなので、リロイのリュックのデザインや、何気ない街の看板などにもこだわって制作しました。
キャラクターの表情でお気に入りなのは、リロイがリュックに入れて持ってきた、ママの味のするユーカリの葉の最後の一枚を食べるシーン。とくにリロイの「口元」がお気に入りです! 味わって食べている表情がかわいくなればいいなと思っていましたが、期待通りの出来で、気持ちが通じたようでした(笑)

南極編「ペンたび」

南極の壮大な景色の中でペンギンたちが魅せるシュールな会話劇!

壮大な景色の広がる南極で、ひとくせあるペンギンたちが繰り広げるシュールな会話劇が魅力の「ペンたび」。ウチヤマユウジ監督を中心として作り上げられた作品のこだわりはどこにあるのでしょうか?

ストーリーができるまで

TVアニメ版より長い尺のなかでどのようなお話にしようか悩みましたが、リサーチのなかで「コウテイペンギンが迷子になることがある」というエピソードを聞き、迷子になったコウテイペンギンのママ、というキャラクターが最初に浮かんできました。加えて、複数種のペンギンが生息するポート・シャルコーという場所にヒントを得ながら、これまでのTVアニメ版のようにペンギンたちがぐだぐだ話しているような内容ができあがっていきました。(ウチヤマ監督)

監督からの見どころ紹介

アデリーじいちゃんが登場するシーンです。もともとおじいちゃんのキャラクターは面白くつくれる自信があって、絶対出したいと思っていました。
すべてのキャラクターの声を自分で担当しているのですが、じいちゃんの声は独特な出し方をしていて、のどがつぶれないか心配だったので一番最後に収録しました!
と言いつつ「じいちゃんのパートを制作できる」ということをモチベーションにしていたところもありました。お楽しみは最後に取っておきたいタイプなんです。

日本編「はちあわせの森」

四季折々の美しさあふれる安曇野の森をニホンノウサギ「ウサオ」と「ウサギ崎先輩」が駆け巡る!

美しい四季で描かれた安曇野の森のなかに、たくさんのいきものの「ざんねん」が詰まった
「はちあわせの森」。
身近な日本の自然を舞台に、こだわりの制作過程がありました!

ストーリーができるまで

いろんないきもののざんねんポイントを紹介しながら、一つのお話としてつながるようにしたかったので、森の中でいろんないきものが「はちあわせ」するように、お話を作っていきました。主人公のウサオとウサギ崎先輩は、人間でいえば中学1年生と2年生をイメージしました。大人から見るとどちらもまだ子供だけど、当のウサオにはウサギ崎先輩がすごく年上に感じて、ついつい甘えてしまう、 そんな年頃の二人です。(由水監督)

脚本 細川徹コメント

日本編を担当することになり、オーストラリア編、南極編にはない日本にしかない四季を描くということと、オチにうんこを使おう! という構想が最初からありました。
また、安曇野にロケハンに出かけた時に、身近にある自然の中に、多種多様ないきものが生息していて、リサーチする中で、よく知っているつもりになっていた身近ないきものたちが、意外なざんねんを抱えているのが面白いと思いましたので、短い尺の中に、なるべくたくさんのいきものとざんねんを出したいと思いました。

美術監督 日野香諸里コメント

もともと原作も好きだったので映画に参加できて嬉しく思うと同時に、日本編の担当とのことで、多くのお客さんにとって一番身近なパートだというプレッシャーもありました。制作にあたっては、キャラクターのルックに合わせて、アクリル絵の具やオイルパステルの描き味を活かした絵本のような印象の背景にしたいと思いました。
作中では様々な場所を移動しながら、季節も変わり、時間帯もさまざまですが、各シーンに特色を持たせる監督のイメージプランを自分なりに受け止めつつ、植物の緑も季節や場所ごとに変えて描いていきました。日本の自然の豊かさが少しでも表現できていたら嬉しいです。

美術 夏の夕方

監督からの見どころ紹介

日本には四季があって、季節が変わるごとに出会いや別れが巡ってきますよね。そこで日本編は「はちあわせ」をテーマに、出会いと別れのシーンを特に大切に作りました。例えば月子や先輩との出会いのシーン、そして何より、最後にウサオが「会う」シーンがイチオシです。

オーストラリア編・日本編 音楽

オーストラリア編と日本編の音楽は、ロサンゼルス在住の作曲家・
ホコヤマワタルが担当しました。日本のアニメ映画には初参加となったホコヤマさんが、各パートのポイントを語ります。

オーストラリア編の制作について

このプロジェクトにお誘い頂いた時に「ハリウッド・サウンドが欲しい」とのお話がありましたので、シーンの細部に渡り繊細な描写をして、派手な所はハリウッド全開の「力強くて優しい」スコアを書くよう心がけました。
苦労といいますか、工夫が必要だった事は、ハリウッドとは若干違う予算の中で、いかにハリウッドに劣らない個性的で楽しいサントラに仕上げるか、が今回の音楽チームとして力の入れどころではありました。
オーケストラはプラハで録音し、オーケストラで演奏する曲を楽譜に仕上げてくれるオーケストレーターも超優秀な Jeff Krykaさんが担当しました。ソロ楽器はオーストラリア、香港、NY、日本と各地域に住む素晴らしいソロ・ミュージシャン達に演奏し、楽曲のミックス(複数の音源を1つの楽曲にすること)はオスカーを受賞したハリウッド映画を数多く手がけるShinnosuke Miyazawa君が手がけ、非常に豪華なキャストで楽曲を最大限に盛り上げてもらいました。

日本編の制作について

近くの花達を愛でるようなとても親密で、個性的な色彩豊かな、小編成の可愛く楽しげなスコアを意図しました。ウサギ崎先輩のテーマでは、なぜか昭和感を出したい衝動にかられ、「昭和の呑気な兄さん」みたいな雰囲気の楽曲にしました(笑)
日本編でも、たくさんの素晴らしいソロ・ミュージシャン達に演奏いただいています。
郷愁を誘うような、甘くてちょっと切ないハーモニカは、香港に住むハーモニカ世界チャンピオンのLeo君、無茶で意味不明な注文にも素晴らしい尺八の音色でこたえてくれたZac君、そしてギターも「あったかくて優しくて愛100% で」という漠然とした注文をサラリと愛100%な音で奏でてくれたYohei Nakamuraさんなど、豪華なキャストで集まってもらえた事で、音楽により個性や優しさが吹き込まれました。
楽曲のミックスは、先日グラミーを受賞されたAkihiro Nishimuraさんが手がけてくれて、とにかくチームのみんなに曲へ命と色彩を吹き込んでもらいさらに素晴らしいものにしていただきました。